あ〜ぴょんの山レポ

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〜2006年7月29日/寒風山〜笹ヶ峰縦走/つづき〜

■笹ヶ峰〜一ノ谷別れ

やっと着いた笹ヶ峰の山頂は、いつもけっこう多くのグループで賑わっている。
石鎚権現さんの裏側に回りこんで、お楽しみのフライパン焼きの用意をする。

久々の笹ヶ峰山頂どぇす!

ちょっとガスが来て、肌寒くなってきた。
が、この日、下は猛暑だったという。

N氏は、山用のフライパンではなく、小型ではあるが普通の、家庭用の
厚手のフライパンを持ってきていた!
あ〜ぴょんは、網焼きの用意をする。缶ビールで乾杯して、網でメヒカリを焼き、
フライパンの上では肉と野菜がジュージュー、いい音と匂いを立てる。

ふと見ると、岩の向こうからひょいと、他のグループ行の女性の方が首を伸ばして
こっちを覗いていた。「何を焼きゆう?」 と、男性も。
ニタニタと笑みを返して会釈する。
厚手のフライパンの威力は、重いながらも担いで登るだけの価値があった。
(担いだのはN氏だが。)
肉も野菜も、抜群に美味かった。玉ねぎなんかもっと、3個ぐらい切ってくれば
よかったと思った。


              メヒカリ。

←肉、しいたけ、エリンギ、タマネギ、
ウインナー、と、ビール。。

 
うどん。

しかしさすがに、笹ヶ峰は夏でも寒い!ガスが出ているせいもあるが、
冷えるのであ〜ぴょんは雨天用兼防寒のカッパを取り出して着込んだ。
焼き物を食べきった後、煮込みうどんまで沸かして食べて、上機嫌で下山を開始。

午後2時、下山開始。
前方に見えるのはチチ山。
なだらかな尾根の真ん中に登山道。
チチ山手前で南面に下がって、
しばらく横道となる。

下山は楽勝だと思った。荷物も軽くなっているし、足の踏ん張りさえ最後まで
持続できれば、どうってことないのだ。

だけど、、そうはいかなかった。
チチ山直下を過ぎるまでは快適だった縦走路も、足場が狭くなりササが伸びた横がけ
を通過するのがけっこう大変で、あ〜ぴょんはよろけまくりながら、ササを掻き分け、
ただただ早く通過したいと思いながらがんばった。
シコクシラベも多く、いい縦走路だとは思うのだけど、疲労が重なるとササが深いのは足にくるのだ。
N氏が言うには、秋口にはこのササを刈ってくれるんだけど、今度は刈ったササが
横倒しになっていて、これまた足元が滑って歩き難いのだそうだ。
それも、イヤかも…。

父山の手前まで来ると、
くぼ地のようなササ斜面を
通過するのが面白かった。
この辺までは快適だったけど、、、

チチ山の直下を通過する頃には足の裏が、かなり痛くなっていた。
外したインソールの土踏まずの部分が、窪みになっていて足の裏に食い込むのだ。
下山のときは、装着した方がラクなんじゃないか?
と思ったが、足場の狭いこの場所で山靴を脱いでインソールをセットして、、とか
やる気持ちの余裕がなくて我慢してしまった。

やっと狭い横がけが終わり、あとは
一ノ谷別れまで、尾根の上を辿る。
前方の冠山手前の、影差しているあたりの
鞍部に一ノ谷別れがある。

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■一ノ谷別れ〜下山口

黙々と、ササの中を歩いて、やっと、「一ノ谷別れ」の分岐に来た。
しかしここからがまた長い。長い下りをひたすら下る。
樹林帯に入っても黙々と下る。

一ノ谷別れ。
あ〜ぴょんの重い足取りのせいで、
午後3時45分ぐらいになっていました。

足が、、、痛いー。正直ちょっと、根が上がり始めた。まだ、下るのかー!
そんなとき、ふいに、「ピリリリリリリ!」 って、大好きなコマドリの声が聞こえた。

 「えー、、コマドリがおる!」

 「まだちょっと遠いき、はっきりわからんけど、片方のは確実、コマドリやねー。」

とN氏。あー、確かに2羽、鳴いてる。あれ、もしかしたら3羽? 
もいっこのはコルリなん?あ〜ぴょんには全部コマドリに聞こえる。

 「だんだん近くになっていくでー。」

と言うN氏にちょっと待ってもらって、あ〜ぴょんは携帯のボイスレコーダー機能を
オンにした。

姿は見えんでもいい。いや、見られたら見たいけど、声だけでもいい。
聞こえたらそれだけで嬉しい。
コマドリだけじゃなく、山の中で聞く大好きな音は、、
春の静かな山の中に響くミソくんの声、せせらぎの音、タゴどんの求愛singing、
初夏から聞こえるアオバトの声、、、、
どれだけ心が生き返るか。何でこんなに心地よいのかと不思議になるくらい、
染み渡ってくる。人間のためじゃないのに、人間の心にも気持ちいいのはなぜ?
とか思ったりもする。

コマドリは嬉しかったけど、足はもうそうとうヘロヘロになり、
ただただ歩く先に、一刻も早く林道が見えることだけを願って地面を踏みしめる。
やがて水の音が大きくなってきて、左手に渓流が見えてきた。
今現在の林道の行き止まりが「一ノ谷橋」という橋のすぐ先までだったので、
これがその橋の下を流れる渓流か?

このときまだ、あ〜ぴょんは知らなかった。登山道から橋の上に
出る道らしい道はないということを。

下山開始から約3時間、やっと前方に橋が見えた。
私たちは右岸にいる。つまり、右手は山側の斜面を見上げ、、左手下方には
渓流が流れている。渓流から橋までは、けっこう高い。
人が踏んで行った上がり口のようなものは見当たらない。
どどど、どうやって、上に上がるが?

N氏は、右岸の山の斜面を、慎重に足場を確保しつつ、木を手で掴み、
下に、つまり渓流に落ちないように横渡りし始めた。
あ〜ぴょんも後に続こうとするが、すぐに足元の枯れ木やら立ち木やらに
阻まれ右往左往、上往下往、、、足の踏ん張り力もないなって
きてるもんだから、思うように進めない。
どどどどないせぇっちゅうねん!

とか一人つぶやいていると、N氏が空荷で戻ってきて、私が担いでいる
ザックを受け取ってくれた。
イヤじゃと思っているから進めないだけで、行けば行けるはずなんだよねー。
と心を入れ替えて、横崖とちゃんと向き合う。
ガチガチの岩場じゃないんだから、よく見るといっぱい足がかり、手がかりは、ある。

そうしてどうにか、橋のたもとに這い上がることができた。
はあーーーー、、

真新しい一ノ谷橋のたもとから
見下ろしたところ。

写真左手(右岸になります)の、
木の生え際をムリやり渡っていったん
橋の下を抜けて、下流の地際を
這い上がりました。

お疲れー!  もう足の裏がヒリヒリ!早くビーサンに履き替えたい。

と、思ったとたん、ひくり、、とあることに気がついた。

  か、か、かぎ、、、車の、鍵!

今ここにあるどの持ち物の中にも入れた記憶がない。
ポケットに手を突っ込む。ストックのキャップしかない。

 「わ、わたし、車の鍵、、、、、」

言いかけて、その先を言葉にできなかった。
え、置いてきた? と、N氏。たぶん、、とわたし。

 「どっかに入ってないか、もっと探してみたら?」

あ〜ぴょんの愛車の後ろでありとあらゆるポケットを探すも、ない。
入ってない。
か、勘弁してよもうー!
こんな失態をしでかす自分にそう叫びたかった。
なんのために車をここへ置いたわけー?ばっかじゃないのー?>自分
申し訳ないっ>N氏

結局、N氏が、寒風茶屋まで1時間かけて歩いて、自分の車を取りに行ってくれた。
あまりにも申し訳なくて、一緒に歩いて行こうかとも思ったが、
足の痛いのを気遣って、N氏は一人で行ってくれたのだ。
あ〜ぴょんは待っている間に携帯のバッテリーも切れ、人っ子一人いない山の中の
林道の地べたの上で、ヘンなことをいっぱい想像した。

もしここで野垂れ死にするとしたら、こんな死に場所は、、、、まあ良くはないけど
寂しすぎて逆に悪くはないかも、、所詮はこんな人生だったのさ、とかいう終わり方でさー、
とか、もう、落ち込んだ頭からは自虐的な思考しか出てこないのだ。

終いには寒くなってじっと座って考えるのさえおっくうになり、林道を出口に向かって
歩いてみたりした。出口に向かってって言っても、出口なんて、見えないのである。
ここまで車で30分ぐらいだったかなー、何キロぐらいになるんだろう、、と計算してみたりもした。
時速20kmで走ってきたとしたら、えー、、10km? そ、そんなにはなかったと思うけどなあ。
平均して10km/hぐらいだったら、5kmかあ、、、
だけど、林道出口から寒風茶屋までだって、距離があるからなあ。

また申し訳なくなる…。とぼとぼと、林道の上を行ったり来たりする。
そうこうしているとN氏の車が戻ってくるのが見えた。1時間半ぐらいで戻ってきてくれた。

 「まあ、よくあることだと言うことで…。」

とN氏。よくあってはいけないことだよねー。
林道を歩くのより、舗装道に出てから寒風茶屋までの道が大変だったようだ。
ほんとうに、すいません!

こんな、、結末だったのである。
笹の山頂であんなに上機嫌だったから余計に自分が情けなくなってしまった。
こんなのを、これから 「へこみ山行」 と呼ぶことにする。

 

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